ネクスベルBlog StepUp!

会員制の就活支援サービスNEXVELが運営する公式ブログです。

【就活コラム】投資銀行編(7) 買収助言における投資銀行・コンサル・FASの違い

企業買収においては、IBD以外がアドバイザーを務めることもあります。これらの違いを理解せずに「M&Aをやりたいです」という志望動機を述べると、「そのタイプのM&Aをやりたいなら、ほかのアドバイザリーファームのほうがいいよ」と言われかねません。 

この記事では、IBDのアドバイザリーとその他のアドバイザリーの違いを解説しています。なぜIBDが良いのかを考えるうえで参考にしてください。

f:id:nexvel:20180428134952j:plain

プレイヤーごとの買収助言

IBDの買収助言
株式や社債の新規発行は、規制によって、内閣に登録された金融機関にしか行えないことになっています。このため、資金調達を伴う案件を担当できるのはIBDだけです。大型の買収は資金調達を伴うことが多いので、必然的に大型案件はIBDが担当することになります。
また、買収や合併に関して最も多くのノウハウを蓄積しているため、ほかのアドバイザリーファームと比べると買収の交渉に長けています。そのため、複雑な買収案件や、複数企業による入札が行われる案件の場合は、資金調達を伴わない場合でもIBDを利用するのが一般的です。 このほか、買収においてのみ助言をするのも特徴です。コンサルティングファームの提案で買収を行うことが決まり、IBDが買収アドバイザーを務めて、PMI(買収後の統合)はFASが担当するといった流れで案件が進むことも珍しくありません。

 

FASの買収助言

FASとは、デロイトやpwcが持つ "Financial Advisory Service" のことです。会計士事務所のグループ会社であり、日々の財務活動を含めた広範なアドバイスを行っています。
買収助言においては、買収以外の部分についてのサポートが厚く、むしろPMIなどに強みがあります。資金調達を伴わない買収などのうち、PMIなどのトータルサポートを期待する場合は、FASを利用することが考えられます。 買収助言は主たる業務の1つであるため、ノウハウの蓄積量(=扱える案件の難易度)は、コンサルティングファーム以上、IBD以下といった水準になっています。

 

コンサルティングファームの買収助言

コンサルティングファームは、買収の提案を行う企業ではありませんただし、事業戦略の助言の中で買収という手段が選ばれると、そのまま買収助言を行うことがあります。

大型の買収や複雑な買収に対しては助言を行えないので、その場合はIBDFASに引き継ぎます。この際、さまざまな事業戦略の中で買収を選んだ選んだ理由などを共有します。案件中も、市場調査などを担ってIBDやクライアントをサポートすることがあります。

 

M&Aアドバイザリーファーム

買収や売却は契約書や手続きなどが複雑で、個人ではとても行えません。しかし、事業の売却などは、個人商店などの小規模な法人でも起こりうることです。特に、後継者不足のための事業売却、いわゆる「事業承継」の助言は、高齢化の進むいまの日本において大きなニーズがあります。

そこで、M&Aアドバイザリーファームと呼ばれる小型のコンサル会社が活躍します。M&Aアドバイザリーファームは、個人事業主による法人売却などに対して、事務手続きを代行しています。フィーの水準も個人事業主が支払える程度の水準に抑えられています。

 

フィーの水準

IBDは、あらゆる案件を担当できるうえ、買収助言のクオリティも突出しています。しかしながら、IBDフィーの水準も突出しているため、気軽には雇うことができません。特に、外資系証券のフィーはかなり高く、よほどの大企業でないかぎり支払えない水準です。

このため、IBDでなければできない案件」以外では、FASコンサルティングファームを買収のアドバイザーに雇うのが一般的です。

 

まとめと補足

企業買収においてはさまざまなアドバイザーが存在します。また、IBDにおけるM&Aは、大きく分けて3つあるプロダクトのうちの1つにすぎません。IPOなどを支援したいからIBDに行くというのは立派な志望動機になります。

IBDを志す学生の中には「M&Aをやりたい」という学生が少なくないようですが、そういう人は、本当にIBDに行きたいのかを含めて、志望動機をよく考えてみましょう。