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【就活コラム】投資銀行編(5) 区別すべき金融の基礎用語

今回のコラムでは、覚えておくべき金融の専門用語に関して解説してあります。

本ブログで何度も記載している内容ですが、投資銀行を目指すにあたっては、付け焼き刃の知識では役に立ちません。基礎的な知識をおざなりにせず、確実にインプットしておきましょう。

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用語を正しく使うべき理由

専門用語というのは、複雑な意味や厳密な定義をたった数文字で表せる便利なコミュニケーションツールです。

多忙なバンカーは、積極的に専門用語を使うことで、日々のコミュニケーションを簡略化しています。専門用語に慣れきっている状態なのです。このため、バンカーとの会話で専門用語を使うと、自然と「複雑な意味や厳密な定義」を伴った内容だと認識されます。
これが意味することは、仮に就活生にその気がなかったとしても、専門用語と同じ文字列であれば、専門用語だと認識されるということです。しったかぶりがいけないだけでなく、知らずに用語と同じ文字列の言葉を発するのも危険だということになります。
こういった事情から、バンカーと適切にコミュニケーションをとるためには、重要な金融用語をきちんと把握しておく必要があります。

この記事は、特に重要な用語を挙げて、今後の勉強の参考にしてもらうことを目的としています。

 

経理と財務

経理とは、会社における取引履歴や税金計算などの庶務のことです。
財務は、資金調達やその運用、予算管理など業務のことです。

事業会社でM&Aや資金調達を担当するのは財務部門であり、IBDで身につくのは財務のスキルです。 面接などで「経理のスキルをつけたい」というと、「この人は何を言っているんだ?」という顔をされるでしょう。冒頭に書いたとおり自然と用語だと認識されるので、「ああ、財務と間違えているんだな」と思ってもらえる可能性は低いです。

 

買収と合併

買収とは、売り手企業が買手企業の傘下に入ることです。
合併とは、2つ以上の会社が1つの会社になることです。
東芝メディカルはキヤノンに「買収」されてキャノンメディカルとなり、新日本製鉄住友金属新日鐵住金へと「合併」しました。

M&Aは、買収や合併のほかにも合弁や出資といったさまざまな「資本関係の構築」を含むことがあります。インターンなどで「M&Aにおいて~」というような質問をすると、「M&Aの何において?」と思われる可能性が高いです。買収なのか合併なのか、第三者割り当てやジョイントベンチャーなのか、そういったことを明確にしてコミュニケーションをとるようにしましょう。

 

企業価値と株式価値

企業価値とは、株主と債権者にとっての企業の価値です。
株主にとっての価値は株式価値債権者にとっての価値は負債価値と呼ばれます。
消費者や政府から見た価値ではありません。

ジョブなどにおいては、扱う数値が企業価値なのか株式価値なのかを明確に区別しなければなりません。もちろん、株式価値・負債価値・企業価値など以外の意味で「価値」という単語を使うのは誤解のもとです。

 

株式価値と時価総額

株式価値とは、株式の理論的な価値や本源的な価値を指します。
時価総額は、実際に市場で取引されている株式の価格を指します。

バリュエーションで求めるのが株式価値であり、株価から求めるのが時価総額です。
また、株価と「1株当たりの株式価値」も区別する必要があります。
株価は株式の価格のことですが、偶然にも価格と価値の1文字目が同じであるため、「株式の価値」を株価だと誤解している学生が散見されます。

 

支配権プレミアム

サマーインターンなどでも使用される割に、定義が複雑な単語です。

株式部分に対する買収金額と時価総額の差を指します。買収プレミアムは、買収金額の債券部分にはかかりません。また、DCF法や類似取引比較法から得られる株式価値は支配権プレミアムを含んだ株式価値ですが、マルチプル法(類似企業比較法)や市場株価平均法で求められる株式価値は支配権プレミアムを含みません。 このように、やや難解な部分のある用語なので、詳しく調べてしっかりと理解しておきましょう。

 

まとめと補足

実務家は、間違った意味で用語を使っているとは想定してくれません。用語を使うからには、正しい意味をしっかり把握する必要があります。また、わからない用語は、意識して使わないようにしないと、つい「たまたま同じ文字列」で用語でない内容を表現してしまう可能性があります。このため、時間と相談しながら知識をつけることは重要です。

たとえば、以下の用語などを調べてみてください。
会計、財務会計、収益、利益、キャッシュフロー、簿価、時価、事業価値、株式交換、公開買付 Depreciation, Amortization, EBIT, 営業利益