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会員制の就活支援サービスNEXVELが運営する公式ブログです。

【インタビュー】NEXVELスタッフ:田邊こころ

NEXVELでは、担当会員のみなさんに担当スタッフ(=コンシェルジュ)がつきます。登録時の面談はもちろんのこと、その後も長期に渡ってみなさんの就活をサポートしていく存在です。

今回は、NEXVELの社会人スタッフ、田邊のインタビューを行いました。昨年1年で150名以上の学生を担当しており、NEXVELサービスの中核となる存在です。是非、ご覧ください。

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まずは自己紹介をお願いします。

慶応義塾大学経済学部を卒業し、新卒で日系大手のIT企業に入社。そこでは経営企画兼新卒採用を担当しました。その後海外留学のために退職し、1年半をカナダで過ごしました。帰国後は、ネクスベルで働き始めると同時に、他にも2つ仕事を開始。教育やコーチングを軸に、現在もトリプルワーカーとして勤めています

 

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NEXVELに入社したきっかけはなんですか?
大きく2つありますね。 
1つ目は、将来的に、カウンセリングやコーチングなど、人に寄り添える仕事・人をサポートするような仕事を通して、次世代に自分の経験を還元していきたいと思い始めたことで
す。NEXVELでは、コンシェルジュというメンターのような存在が学生1人1人について就職活動を進めていきます。この形式が、自分のやりたいことと重なり、挑戦してみたいと思いました。
2つ目は、前職の退職後から2年間程の留学期間をはさみながらも、代表の早川に声を掛け続けてもらっていたことですね。当時社員数が2人のである会社で果たして私自身やっていけるのかの不安はあったのですが、あえて挑戦環境に身を置くのも悪くないかなと思い、入社を決めました。


昨年1年間コンシェルジュを務めた感想を教えてください。

皆さんが就職活動で動きの多い時期は、ネクスベルの業務も忙しく、一日中会員の相談に乗っていることもあります。そんな忙しい時期には帰宅後にはバタンキューな日も度々あります。
ただ、落ち込んだり、悩んでいる様子で相談に来た学生が、私との面談を通してすっきりと笑顔になっているのを見ると、「なにか役に立てたかな」と思えて、仕事にやりがいを感じられますね。中でも、進路決定の時期にみなさんから嬉しい報告を聞けるのは特に大きな喜びです。以前、一年間担当していた学生から「さっき無事内定をもらいました!田邊さんにはお世話になったので、一番最初に報告したくて!」とメッセージをもらえたときは、本当に嬉しかったです。

 

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コンシェルジュとして心がけていることやこだわりを教えてください。

相手の目線に合わせ、相手の状況や考えを正しく理解することです。一人ひとりのキャリアが違うように、その人の現状や就職活動において目指すところもそれぞれなので、一人ひとりの状況や性質、考え方を正しく理解し、その上でアドバイスをする必要があると思っています。そのために、接する相手の性格や性質によってコミュニケーションのスタイルや接し方も変えるように心がけていますね。

 

 NEXVEL会員にメッセージをお願いいたします!

就職活動はキャリアを考える上での第一歩ですし、その最初の選択によって、その後の将来が大きく変わってきます。企業のイメージだけではなく、実際に自分の目で見て、自分の耳でたくさんの話を聞き、その上で自分との対話をしながら納得のいくファーストキャリアの選択をしていって欲しいと思います。そのサポートを全力でしていきますので、一緒に頑張りましょう!

 

 

最後に

就職活動を1人で進めるとなると、情報がなかったり、漠然とした不安を抱えたりと、悩みはつきないですよね。NEXVELでは、担当のスタッフが、あなたの状況にあった情報提供やアドバイスを行います。是非あなたもNEXVELで一緒に動き出しましょう!

nexvel.co.jp

 

【就活コラム】投資銀行編(11) 投資銀行部門の典型的な採用プロセス

外資系証券の選考は、企業ごと・年度ごとに異なるだけでなく、1人1人で内容が異なります。知識を武器にしてきたなら知識を問う質問に、地頭をアピールしてきたなら地頭を試す質問に、というように志望者によって質問の傾向が変わります。評価によっては面接の回数や人数すら異なります。

このため、ここに書くプロセスは代表的な例にすぎないということを念頭において読んでください。

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全体の選考フロー

大雑把には、下記のような選考になっていることが多いです。

エントリーシート
・筆記試験
・リクルーティングチームによる面接
・オフィサーによる面接
・ジョブ
・MDによる面接

 

各ステップでの要点
最も重要であるESを中心として、各ステップの重要事項をまとめると次の通りです。


エントリーシート
志望動機は、全選考プロセスの中で最も重要です。80%の志望者はESで不採用になりますし、ESは最初から最後まで利用されるからです。また、IBDの選考自体が「IBDへの熱意を試すプロセス」という性質を持っていることも、志望動機が最も重要であるゆえんです。

ESで重要なのは、1. 日本語の正しさ、2. わかりやすさ、3. IBDへの最適化、の3つです。 意外に感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、ESで落ちる人の大部分は「てにをは」を正しく使えていません。自分は大丈夫だと過信せず、日本語ライティングに長けた人(たとえば新聞部の友人や作家志望の友人など)に添削をお願いするのも大切です。

また、採用担当のバンカーは、通常業務の合間を縫ってESを読みます。このため、急いで読むこともありますし、眠い中読むこともあります。そんな状態でも正しく伝わるような、わかりやすいESを書くことを心がけましょう。 IBDに最適化されていないESは基本的に落ちます。IBDに最適化できているかどうかは、「他業界に出したら落ちそうか?」で確認するのがおすすめです。商社に出したら落ちそうか?コンサルに出したら落ちそうか?官公庁で言ったら嫌な顔をされそうか?を確認してください。「コンサルに出しても通りそうだな」と感じたら、おそらくESを読むバンカーも同じことを考えているでしょう。

 

筆記試験
TG-Webまたは玉手箱に加えて、会社独自の筆記試験の一般的です。ボーダーは高くないので、落ちた場合はESやその他に問題があったと考えるのが無難です。

リクルーティングチームの面接
若手によって構成されたリクルーティングチームによる面接です。やや加点方式の面接で、「なんとなく光るものがあった学生」が次の選考に進みます。最低限度の業務理解と長所さえあれば、難なく通過するでしょう。

オフィサーの面接
最も厳しいプロセスで、どちらかというと減点方式の面接です。志望動機その他について掘り下げる質問が多く、業界理解や知識を問う質問も増えてくるほか、圧迫的な面接もあります。志望動機や自己アピールのほころびや業界理解の甘さは、きちんと追究されます。

ジョブ

3日間ほどのインターンシップ形式の選考です。基本的には「面接がうまいだけの学生」を落とすための選考ステップです。これまでの努力や仕事能力がワークを通して確認されます。楽しそうにワークに臨むかどうかも重要で、つまらなそうにしていると「仕事もつまらないと感じるだろうな」と思われる可能性が高いです。

MD面接

社風に合っているか、辞退しなさそうか、頑張ってくれそうか、などが総合的に評価されます。この段階でも2~3倍の倍率であるのが一般的ですので、油断はしてはいけません。このプロセスで最も重要なのは「自社の社風に合っているか」であるため、2~3社のMD面接に進めれば、その中で最も自分に合っているところから内定をもらえるのがふつうです。

まとめと補足

ESを甘く見ている学生はまず採用されません。とにかく妥協なくESを仕上げましょう。例年似たような設問が課されるので、就活サイトなどから昨年度のESを確認して、エントリーが開始する前から書き始めておくのも有効です。

一方、ESさえきちんと書いてしまえば、あとはそれを伝えるだけです。ただし、面接を通して志望動機などをブラッシュアップする意識を持っておくとよいでしょう。ES通過に必要な志望動機のクオリティと、MD面接で通用する志望動機のクオリティは異なります。

【就活コラム】投資銀行編(10) IBDのジョブにおける中上級者向け立ち回り

ジョブに参加する学生は、「確実に内定を取りそうな学生」「ジョブ次第の学生」「ほぼ見込みのない学生」の3つに分けられます。この記事は、2つ目の「ジョブ次第の学生」のグループに入るジョブ参加者が、内定に近づくために必要なノウハウを書いています。

ジョブでのパフォーマンスには、個人のパフォーマンスとチームのパフォーマンスがありますが、チームのパフォーマンスが悪いと、個人の評価以前に「ひどいチームだった」と判断される可能性が高いので、チームのパフォーマンスを上げることを意識するとよいでしょう。あなたが「確実に内定を取りそうな学生」でないならなおさらです。 そして、「あのチームよかったよね。誰が活躍したんだっけ?」という話になったときに、自分の名前が挙がるように立ち回るのが重要です。

 

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時間を節約する

ワークで最も大事なポイントは、時間を節約することです。そして、特に時間を浪費しやすいのは「作業のやり直し」です。やり直しが生じやすいのは、買収セグメントの選定や被買収企業の選定ですから、ここにやり直し防止策を用意するのが重要です。

買収セグメントはどれを選んでも同程度に難しいものですし、被買収企業はどれも一長一短です。このため、悩むくらいであれば「このセグメントで買収をすべき理由」や「この企業を買収すべき理由」を掘り下げるのが得策です。

このことについて、ワークに不慣れなメンバーにうまく伝えるスキルも、ワークを円滑に進めるうえで重要です。 もし、買収セグメントや被買収企業がどうしても決まらないときは、最も大きいセグメントまたは最も成長しているセグメントを選び、被買収企業候補のうち最も大きい企業か最も成長している企業を選ぶのが無難です。そのほうが、選んだ理由を説明しやすい可能性が高いからです。

 

プレゼンテーションのクオリティを上げる

IBDにおける提案はクライアントに見せるために作るものです。メーカーなどのように、企画書は社内でのみ使われて、製品の段階になってはじめて消費者のもとに届く、といった構造ではありません。また、ワーク中は若手バンカーが質問などに対応してくれることが多いですが、最終日に行うプレゼンテーションは、ディレクタークラスの社員も出席します。さらに、資料作成は若手バンカーの主たる仕事の1つですから、仕事能力を直接的に確認できてしまうポイントでもあります。

このため、多くの学生が想定している以上に、提案資料やプレゼンテーションのクオリティを上げることは評価に直結します。 資料作成やプレゼンテーションについて勉強したことがないのであれば、1~2冊の本を読んでおくとよいでしょう。

 

無能なメンバーをどう処理するか

ワーク慣れしていない学生は、相当急がないと終わらないワークであるということを理解していません。このため、彼らが時間を浪費しないようにサポートしてあげる必要があります。調べ物を頼むときは、調べる内容の粒度や精度を指定したり、被買収企業は理想的な条件でなくてもよいことを伝えたりと、工夫してチームワークを進めましょう。

もし、実際に邪魔になった場合は、アウトプットと無関係な作業を任せて無力化しましょう。無意味な質問をしてくる傾向もありますので、質問は社員に聞くように促すとよいでしょう。場合によっては「よくわからない」という建前を使ってでも、自分の作業時間を確保するのが重要です。「調べろ」と言いたくなると思いますが、調べる能力がないから聞いているということを念頭におきましょう。

 

まとめと補足

時間制約の中で、プレゼンテーションの質を最大化するのがジョブでの基本方針です。

チームメンバーをうまく活用して(場合によっては無力化して)、もしくは、チームメンバーとうまく連携して、効果的にチームワークを進めましょう。仕切っている人や知識がある人が評価されるわけではなく、チームに貢献した人が評価されます。 また、ワーク中は積極的に社員に話しかけましょう。特に、「実務ではどうするんですか?」という質問は、プレゼンの質の向上につながるだけでなく、志望動機の根拠や逆質問のネタにしやすいので非常に有用です。

【就活コラム】投資銀行編(9) IBDのジョブにおける知識不足な人の立ち回り

IBDのジョブは、あくまで仕事能力をチェックする選考プロセスです。勉強会ではありませんから、面接などと同じく対策して臨むのが前提となっています。

このため、ジョブの対策が済んでいないような学生は、そもそもジョブに呼ばれないのがふつうです。しかし、面接での立ち回りがうまかったり、たまたま社員に気に入られたりして、無対策なのにジョブに呼ばれることがあります。この記事では、そういった学生が、短い対策期間でそれらしく立ち回るために必要な情報をまとめています。

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無対策の人がやるべきこと

以下、「知識」という言葉を使いますが、これは「ジョブで必要になる程度のビジネス・金融・業務の知識」を指します。実務で通用するようなレベルを想定しているわけではありません。

 

知識以外で勝負をする

知識がないことは面接の段階で分かっているはずですから、あなたは、面接官から「知識はないけど別の長所がある」と評価されている可能性が高いです。弱点である知識で勝負するのは愚の骨頂なので、自分が評価されたと感じる「別の長所」のアピールに時間を割きましょう。

もちろん、ジョブへの参加が確定してからジョブに参加するまでには、いくらかの時間があるでしょうから、その期間に最低限度の知識をつけておくというのも重要です。

 

PCスキルでの貢献  

IBDの若手は調査や資料作成をすることも多いので、PCスキルは評価に直結します。IBDにおいては、資料作成や調査のスキルを包括して「事務処理能力」と呼ばれることがあります。これは金融の知識がなくてもできるので、事務処理能力でチームに貢献する戦略も考えられます。

ただし、買収提案の業務に関する知識がない状態では、提案に必要な情報とそうでない情報を区別するのは難しいと思います。作業をするときは、チームメンバーや社員にこまめに質問しながら進めるのがおすすめです。

 

とにかく楽しむ

 現役バンカーやバンカーの卵たちに囲まれて金融のワークに取り組む機会は、生涯でこれが最後でしょう。ここで学んだことは、その後のキャリアで必ず役に立つはずです。このため、ジョブで学べることを最大限学んで帰るというのも有力な戦略です。

心の底からワークを楽しんで、多くのことを吸収していれば、「この人は内定後に本気で勉強するだろうな」という肯定的な評価になる可能性もあります。したがって、ジョブでの学びを最大化するというのは、消極的なあきらめの戦略というわけではありません。

 

対策している学生の視点

数百時間から千時間単位で対策をしてきた学生は、それだけIBDへの熱意が大きいので、手段を選ばずに自分の評価を稼ぎに来ます。

こういった学生が、無対策のチームメンバーに求めるのは「邪魔しないこと」のみです。もしあなたが邪魔になりそうなら、「初見だと時間のかかる作業」を任せてワークから排除するでしょう。むろん、どの作業も無対策では大変なので、これを見抜くのは困難です。

ほかの対策済みメンバーも邪魔しないことを望んでいますし、社員も「うまく邪魔にならないように対処したんだな」と思うだけなので、だれか1人にでも邪魔になりそうだと思われると、気づかぬうちに四面楚歌になる可能性が高いです。


その一方で、IBDへの熱意の大きい学生たちの中には、純粋に金融が好きな人も少なくありません。金融に限った話ではありませんが、自分の好きなことに対して関心を持ってもらうのはうれしいことです。このため、金融への純粋な好奇心を見せれば、案外丁寧に教えてもらえる可能性もあります。これは、対策しているメンバーだけでなく、IBDの社員にも当てはまります。

 

まとめと補足

無対策でジョブに呼ばれた場合は、
1. 自分の長所で戦う
2. PCスキルで貢献する
3. 楽しむ
という戦略をとるのがよいでしょう。
いずれの場合でも、優秀なメンバーの邪魔にならないようにするのは重要です。

【就活コラム】投資銀行編(8) 投資銀行部門のジョブの課題を正しく理解する

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IBDのジョブの課題は、事業会社のジョブの課題とは構造的に異なります(下表)。事業会社のジョブではすでに手段が指定されていますが、IBDのジョブで指定されているのは目的のみです。

事業会社のジョブに慣れている人ほど、IBDのジョブでも手段の提案が課されていると勘違いしやすいので注意しましょう。

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この記事では、IBDのジョブの課題である「クライアントの企業価値向上策の提案」がどのようなものであるかを解説しています。

 

「クライアントの」とは

広義のコンサルティング会社にとって、クライアント・ファーストは当然のことです。しかし、クライアント・ファーストを意識してジョブに取り組める学生は限られています。 たとえば、5チームあれば1チームは、次のような発表をしてしまうでしょう。

・〇〇社を買収するとよい商品が作れるので、消費者が喜びます
・〇〇社との合併が社会のためになります
・計算した結果、適正な買収価格は〇〇億円でした

1つ目は "Consumer is Boss" というメーカーの考え方です。2つ目は利益を追求しない公務員的発想で、3つ目は学術的な視点です。IBDはクライアント・ファーストですから、消費者のためや社会のため、公平性よりもまず、クライアントのためになるかを考えなくてはなりません。

買収金額なら、できるだけ安くなるように尽力するのがクライアント・ファーストです。

 

企業価値向上策の」とは

企業価値向上策とは、十分に簡略化すると「利益向上策」です。
買収提案において企業価値が向上するとは、買収時に支払ったお金以上の利益を得られるということです。

したがって、買収提案が企業価値向上策であるためには、次のどちらかまたは両方が必要です。
・買収後に得られる利益が十分に大きい
・買収時に支払うお金が十分に小さい
前者は、シナジーが大きいことを意味します。被買収企業がもともと大きな利益を生み出していた場合は、それに応じて買収金額が高くなりますので、被買収企業の利益が大きいだけではいけません。 後者は、いわば「利益の大きさの割に買収金額が安い」ということです。株式価格が割安であるということです。

以上をまとめると、「企業価値向上のための買収提案」というのは、「十分に高いシナジーを持つ会社を、割安な価格で買収する」という提案だといえます。ジョブにおいては、シナジーがあるのかという点に特に着目しましょう。そして、「価格は安いほうが良い」というシンプルな原則を守りましょう。 ジョブでも次のような失敗例がよく見られるので注意が必要です。
・この会社は割高ですが、〇%のプレミアムを支払えば買えます
シナジーはありませんが、安定している優良企業です

 

「提案」とは

最終的な意思決定をするのはクライアントであって、IBDではありません。しかし、ジョブにおいては提案ではなく意思決定をするような発表が散見されます。

・私たちのチームは、〇〇社を買収することにしました
・(クライアント名)は、〇〇社を買収します

こういった発表は、IBDの視点ではなく、事業会社の視点になっています。もし、上のような発表をしてしまうと、「この人たちはIBDよりも事業会社に行きたいのだろう」という評価になることでしょう。アドバイザーであるという意識があれば、「~を提案いたします」や「~が最適だと考えられます」といった言葉遣いになると思います。

また、買収提案というのが本質的には「企業という商品を売り込む営業」であることを理解しましょう。そう考えれば、「安くて魅力的である」「(他社ではなく)あなたが買うべきだ」「(将来ではなく)いま買うべきだ」といったアピールが重要だということがわかるはずです。就活生は、買収提案というものを何か特別な業務だと考えている傾向がありますが、本質的な部分は他業界の提案営業を同じです。

 

まとめと補足

IBDのジョブの課題は、①クライアントの②企業価値向上策の③提案です。このことを意識してジョブに臨みましょう。特に、買収提案が企業を売り込む営業であるという意識を持つのは重要です。

また、企業価値向上の手段は問われていませんから、買収・合併・増資・社債発行などどの手段を選んでも問題ありません。しかし、実際には「完全子会社化」の提案を行うのが最も無難です。なぜなら、完全子会社化の提案が最も簡単なため、最もクオリティの高い提案をできる可能性が高いからです。

【就活コラム】投資銀行編(7) 買収助言における投資銀行・コンサル・FASの違い

企業買収においては、IBD以外がアドバイザーを務めることもあります。これらの違いを理解せずに「M&Aをやりたいです」という志望動機を述べると、「そのタイプのM&Aをやりたいなら、ほかのアドバイザリーファームのほうがいいよ」と言われかねません。 

この記事では、IBDのアドバイザリーとその他のアドバイザリーの違いを解説しています。なぜIBDが良いのかを考えるうえで参考にしてください。

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プレイヤーごとの買収助言

IBDの買収助言
株式や社債の新規発行は、規制によって、内閣に登録された金融機関にしか行えないことになっています。このため、資金調達を伴う案件を担当できるのはIBDだけです。大型の買収は資金調達を伴うことが多いので、必然的に大型案件はIBDが担当することになります。
また、買収や合併に関して最も多くのノウハウを蓄積しているため、ほかのアドバイザリーファームと比べると買収の交渉に長けています。そのため、複雑な買収案件や、複数企業による入札が行われる案件の場合は、資金調達を伴わない場合でもIBDを利用するのが一般的です。 このほか、買収においてのみ助言をするのも特徴です。コンサルティングファームの提案で買収を行うことが決まり、IBDが買収アドバイザーを務めて、PMI(買収後の統合)はFASが担当するといった流れで案件が進むことも珍しくありません。

 

FASの買収助言

FASとは、デロイトやpwcが持つ "Financial Advisory Service" のことです。会計士事務所のグループ会社であり、日々の財務活動を含めた広範なアドバイスを行っています。
買収助言においては、買収以外の部分についてのサポートが厚く、むしろPMIなどに強みがあります。資金調達を伴わない買収などのうち、PMIなどのトータルサポートを期待する場合は、FASを利用することが考えられます。 買収助言は主たる業務の1つであるため、ノウハウの蓄積量(=扱える案件の難易度)は、コンサルティングファーム以上、IBD以下といった水準になっています。

 

コンサルティングファームの買収助言

コンサルティングファームは、買収の提案を行う企業ではありませんただし、事業戦略の助言の中で買収という手段が選ばれると、そのまま買収助言を行うことがあります。

大型の買収や複雑な買収に対しては助言を行えないので、その場合はIBDFASに引き継ぎます。この際、さまざまな事業戦略の中で買収を選んだ選んだ理由などを共有します。案件中も、市場調査などを担ってIBDやクライアントをサポートすることがあります。

 

M&Aアドバイザリーファーム

買収や売却は契約書や手続きなどが複雑で、個人ではとても行えません。しかし、事業の売却などは、個人商店などの小規模な法人でも起こりうることです。特に、後継者不足のための事業売却、いわゆる「事業承継」の助言は、高齢化の進むいまの日本において大きなニーズがあります。

そこで、M&Aアドバイザリーファームと呼ばれる小型のコンサル会社が活躍します。M&Aアドバイザリーファームは、個人事業主による法人売却などに対して、事務手続きを代行しています。フィーの水準も個人事業主が支払える程度の水準に抑えられています。

 

フィーの水準

IBDは、あらゆる案件を担当できるうえ、買収助言のクオリティも突出しています。しかしながら、IBDフィーの水準も突出しているため、気軽には雇うことができません。特に、外資系証券のフィーはかなり高く、よほどの大企業でないかぎり支払えない水準です。

このため、IBDでなければできない案件」以外では、FASコンサルティングファームを買収のアドバイザーに雇うのが一般的です。

 

まとめと補足

企業買収においてはさまざまなアドバイザーが存在します。また、IBDにおけるM&Aは、大きく分けて3つあるプロダクトのうちの1つにすぎません。IPOなどを支援したいからIBDに行くというのは立派な志望動機になります。

IBDを志す学生の中には「M&Aをやりたい」という学生が少なくないようですが、そういう人は、本当にIBDに行きたいのかを含めて、志望動機をよく考えてみましょう。

【就活コラム】投資銀行編(6) 投資銀行業務の基本

投資銀行の仕事はBtoBであり、商品は無形のサービスです。このため、中途半端な勉強では志望動機を整理するのはおろか、業務のイメージすらできません。

業務を知るためには、実務家に質問をしたり経済小説を読んだりするのがおすすめです。しかし、まったく勉強をしていない状態では、経済小説を読んでも何を言っているのかわからないという状態になる可能性があります。 この記事では、勉強のための勉強として、IBDの業務に対する基礎知識を提供しています。

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投資銀行部門の構造

投資銀行部門は、カバレッジチームという業界別のチームと、プロダクトチームという商品別のチームに分かれています。

カバレッジチームは、金融法人グループ、一般事業法人グループなどの5~6個のチームに分かれているのがふつうです。プロダクトチームは、M&Aチーム、株式チーム、債券チームの3つに分かれています(下図)。カバレッジチームは横断的な担当範囲、プロダクトチームは縦断的な担当範囲となります。 たとえば、消費財メーカーがM&Aを行うときは、一般事業法人グループとM&Aアドバイザリーグループが協力して案件を進めます。インターネット企業がIPOをするときは、TMTのカバレッジチームと株式のプロダクトチームが案件を担当します。

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※ TMTは、Telecom, Media, and Technologyの略で、通信会社や広告・メディア企業、半導体メーカー、インターネット企業などを担当するカバレッジ

 

投資銀行部門のプロダクトは3つ
社債による資金調達

IBDでは最も多い案件で、収益源となっています。

事業会社や金融法人など(以下、発行体)が社債を発行する際に、過去の案件や投資家へのヒアリングを踏まえて、利息や調達可能な金額についてのアドバイスを行います。このほか、社債を購入する意思のある投資家を探したり、投資家と発行体の間のミーティングをアレンジしたりします。

若手バンカーは、市況データのまとめや過去の案件の要点の整理に加えて、ミーティングの日程調整、(海外投資家とのミーティングのための)航空券や宿泊場所の確保などを行います。

 

株式による資金調達

IBDで最も収益率が高い案件で、IBDの象徴的なプロダクトです。

IBDは、株価の変動や市況、株主の性質、株式の流動性などを考慮したうえで、新規株式の発行可能な額や発行タイミングなどについて、発行体にアドバイスをします。特に、新規株式公開(IPO)の案件は、既存の株価や出来高が存在しないため、IBDが「妥当な価格」その他の条件を決定するうえで重要な役割を担います。重大なIPOを担当できることは、投資銀行にとっても非常に名誉あることとされています。

若手バンカーは、市況や過去の案件についての整理、投資家とのミーティングの設定、バリュエーションモデルの作成などを行います。IPOにおいては、IPOに必要となる膨大な資料を準備するのもバンカーの役割です。
 

 

M&A

子会社化や合併、第三者割当、合弁など(以下、M&A)も投資銀行のプロダクトの1つです。

IBDは発行体に対して、交渉の戦略や株主の説得方法、株式の妥当な価値、契約書の作成などについてアドバイスを行い、買い手(売り手)候補を探します。IBD以外のアドバイザー(法律事務所や監査法人、コンサルなど)を統括する役割も担っており、法律事務所などに連絡すべきタイミングや頻度などについてもアドバイスも行います。

若手バンカーの仕事は、交渉のための情報の整理、資料の作成、他のアドバイザーとの連絡、ミーティングの日程調整、バリュエーションモデルの作成などです。

 

まとめと補足

投資銀行部門の業務は、感覚で分かるようなものではありませんから、先行までに時間をかけてしっかりと勉強しておきましょう。その際、投資銀行が何をやっているのかではなく、投資銀行の従業員が何をやっているのかに注目するとよいでしょう。

また、M&Aについては、コンサルティング会社などがアドバイザーとなるケースもありますが、そういった会社の業務内容はIBDとは異なります。OB訪問などをする場合には、必ずIBDの社員を訪問するようにしましょう。